横断歩道では、常に先頭に立て!
では、リーダータイプはどんな学びをしているのか。年間60~70も公式戦がある羽生二冠は、「普通の棋士の3倍、ヒマな棋士の10倍忙しい」(鈴木氏)ため、なかなか勉強に時間を割けない。
「羽生二冠の勉強法の1例ですが、対局中の昼休みに他の対局を1通り見て回ります。そこで互いがどういう戦略でぶつかり、今に至ったのか、1局につき数分で情勢を解析する。そこから得たヒントを、後日の自分の対局に活かすのです。瞬時の判断を繰り返すことで情報と分析が蓄積されていきます」(同)
多忙だった大山十五世名人も、対局の翌朝、指した棋譜を並べ直して、手書きでノートに記すことを習慣にしていた。さらに晩年まで欠かさなかったのが、勝利への執着心を高める日常的なトレーニングである。
「横断歩道で先頭に立ち、信号が青になったら、3番以内に向こう側へ渡りきると決めていた。人の何倍も競争心があることを常に意識することで、『自分が負けるはずがない』という信念を強化していました」(同)
少ない時間の中で頻出する機会を最大限利用して、能力を高める。それがリーダータイプの勉強法なのだ。
○ 常に勝敗を意識
× 漫然と行動する
忙しければ、学びの時間を日常に見出す
社会的地位が高くなるほど人は忙しくなり、自分を磨いたり学習したりする時間は失われていく。さらにまとまった時間をつくるのが難しい場合、日常的な状況や頻出する機会を、トレーニングの時間に充ててみよう。朝の通勤中、車内の中吊り広告のキーワードから派生した企画を考える。エレベーターを待つ間、近くに立った人への営業をイメージしてみる。風呂の時間に今日の課題を反芻する……。日々の習慣にすれば蓄積は大きい。