数字には「絶対数」と「相対数」がある

ひとくちに「2℃」といっても、39℃に対しては5%、100℃に対しては2%です。数字には「絶対数」と「相対数」があることに注意しましょう。この2つの視点をしっかり持って、数字の重みを理解することが重要です。

相対数は何かと比べての数字です。その比べる観点のポイントも紹介しておきましょう。

▼「母数」と比べてどうか?

ある部品の不良品が1000個あったと言われると一瞬、大きな印象を受けてしまいますが、母数が100万個であれば、それは0.1%の不良です。

▼「他」と比べてどうか?

「1兆6000億円の売上」という数字を聞いたら、すごい売上だ、と思ってしまいます。この数字は出版業界の売上の「絶対数」ですが、自動車業界と比べると、トヨタ1社の売上にも及んでいません。

▼「以前」と比べてどうか?

今年の売上が、1兆6000億円。5年前は2兆円以上だったとしたら危機的状況であるということを示しています。

相対数は、絶対数だけでは表現できないインパクトを表現することも可能です。

インプットだけでなく、自分が資料をまとめる際には、この2つの数字の表し方を使い分けすると、効果的にバイアスをかけることにもつながります。

いかがでしょうか? 資料をつくる側になったら「バイアスを上手に利用する」、資料を読む側になったら「バイアスを取り除いて正しく事象を捉える」。ぜひ、業務に取り入れてみてください。

木部 智之(きべ・ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。2017年より現職。著書に『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(以上、KADOKAWA)がある。
(構成=川田さと子)
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