心の中のヒーローに悩みを打ち明ける
悩みが生じたなら、心の中にいるヒーローにそれを聞いてもらいましょう。
欧米には“What will Jesus do?”(イエス様ならどうされるだろうか?)という質問を立て、そばに立って話を聞いてくれる存在としてのイエス・キリストに問題を預ける人が多くいます。古典の『神曲・地獄篇』でダンテがヴェルギリウスを先導にし、詩人のペトラルカが「告白」でアウグスティヌスに心の奥底を打ち明けたように、あこがれの存在を頭に思い描いて問題解決のきっかけにするというのは、昔から存在するテクニックなのです。
そこで私たちも私たちなりの悩みを、心のヒーローや、本などで知っているメンターに問いかけて、聞いてもらえばいいのです。
それはどんなにつまらないことでもかまいません。仕事の優先順位から人生の岐路まで、悩んだときに「スーパーマンならどうするだろうか」「バットマンならこれを引き受けるだろうか」といった思考で、悩みを試してみるのです。
一見くだらないことを聞くからこそ有効
これは遊びのようでありながら、判断にある種の明快さを持ち込んでくれます。自分の視点では混乱している思考を、より高い規範から紐解くことが可能になるからです。
ヒーローはえてして単純で、ピンチに対し動ぜず、悩み苦しみながらも結局のところはなすべきことをパンチの形で繰り出します。そして一見くだらないことを訊くからこそ、この方法は有効なのです。
あなたの小さな質問にヒーローなら、何と答えるでしょうか。
「この打ち合わせには嫌な予感がするけどどうだろう」「断れ」
「この会社に転職するのでいいだろうか」「大丈夫だ。行け」
背中を押すヒーローの声は、実はあなた自身の心の声に他ならないのです。