人生は決断の連続である。どのように選択すればいいのだろうか。キャリアカウンセラーの戸田智弘さんは「寓話は先人が残してくれた人類の貴重な遺産であり、そこにはよく生きるための“教え”が凝縮されており、“人生の道しるべ”になる」という――。

※本稿は、戸田智弘『人生の道しるべになる 座右の寓話』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

AとBを比べる女性
写真=iStock.com/metamorworks
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◆成功の秘訣

レポーターが銀行の頭取に尋ねた。

「あなたの成功の秘訣ひけつはなんですか?」
「二語(Two words)だ!」
「それはどのようなことですか?」
「正しい決断(Right decisions)!」
「どうやって正しい決断を下すんですか?」
「経験だ!」
「どうやって経験を積むんですか?」
「二語(Two words)だ!」
「なんでしょう?」
「間違った決断(Wrong decisions)!」

正しい決断と間違った決断

「できるだけ正しい決断をしたい」と願うのは普通の感情だ。しかし、いきなり正しい決断を下すのはたいへん難しいことである。「間違った決断を下す」という経験を積んだ上で、ようやく「正しい決断を下す」レベルに至ることができる。別の言い方をすると、失敗という経験を積んだ上でなければ成功に至ることはできないということになる。

ここから得られるのは、失敗を恐れるなという「ありふれた教訓」である。失敗は自己を改善していくためには避けられないステップである。スポーツで上達しようと思えば失敗は欠かせない。積極的なプレーをする人(自分の殻を破ろうとする人)が失敗する人であり、逆に積極的なプレーをしない人(自分の殻を破ろうとしない人)は失敗をしない人である。どちらが上達するかは明らかだ。

不成功に終わった試みや努力を称えよう。スポーツに限らず、仕事も同じである。高度で複雑なスキルは、失敗を通じた試行錯誤を経てやっと身につけられるものなのだ。