私はこれまで、100社以上の経営幹部育成に携わってきた。リーダーの役割は、「決断すること」だ。環境変化が目まぐるしく、ビジネススピードも速い現代では、成果を出すために「速い決断」が重要だとされている。また、私の肌感覚ではあるが、即決できない人はその他のマネジメント能力も劣っていることが多い。幹部育成の際には、職場の上司や部下から本人の「マネジメント能力」を評価してもらうのだが、「即時の意思決定と率先行動」のスコアが低い場合、往々にしてその他のスコアも低いのだ。

リンクアンドモチベーション執行役員 麻野耕司氏●中小ベンチャー企業向けコンサルティング事業の責任者に当時史上最年少で就任。気鋭の組織変革コンサルタントとして注目を集める。現在、複数の企業の社外取締役、アドバイザーを務めている。

しかし、決められないリーダーは多い。それには大きく2つの理由がある。1つめは、心理学的に言えば「現状維持バイアス」というものだ。たとえば、A、B、Cの選択肢からAを選ぶ場合、それはB、Cという選択肢を「捨てる」ことになる。しかし、人間には「現状維持」を望む特性がある。そのため、決断に対して抵抗感を抱くのだ。