幸せに生きるためには何が必要なのか。ハーバード大学准教授の内田舞さんは「何を選び、どう行動するかを自分で決める意識を持つことが大切だ。自分の人生は自分のものだと思えれば、心が安定する」という――。

※本稿は、内田舞『まいにちメンタル危機の処方箋』(大和書房)の一部を再編集したものです。

夕陽を見つめる女性
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何を選び、どう行動するか自分で決める“オーナーシップ”

オーナーシップ(ownership)は、心理学や精神医学の分野でもよく使われる言葉です。

直訳すると「所有権」という意味になります。

簡単にいうと「自分が何を選択するか、どう行動するかは自分が決める」と考える姿勢のことです。

自分に関わる選択や行動、そして結果を“自分自身のものとして所有する”イメージでしょうか。

オーナーシップについて考えるとき、私は、友人でもあるフィギュアスケート選手の長洲未来さんを思い浮かべます。

長洲さんは、14歳という若さで全米チャンピオンになり、二度の五輪出場を果たしました。一度の五輪代表落ちを経て出場した平昌オリンピックでは、アメリカ人女性として五輪初のトリプルアクセルを成功させ、団体銅メダルにも輝いたキャリアの持ち主です。

そんな彼女にも、10代の頃に、フィギュアスケートへの情熱を見失った時期がありました。14歳で全米選手権で優勝してスポンサーもつき、お金の管理や、どのコーチにつくかという人間関係のジャッジメントも自分でマネジメントしなければならない状況に、まだティーンエイジャーのときに置かれてしまうのですから、その中で自分を保つというのはそもそも無理な話ともいえます。