決断するスピードを加速する

AなのかBなのか、やるかやらないのか、どれを選び、何をあきらめるか――私たちの日常は大小の判断や決断にあふれています。

たとえば昼ごはんを食べるためにレストランを探していて、最初に見つけた場所に入るのか、それとももっと別の店を探すのかという判断があったとします。前者はシステム科学者のハーバート・サイモン氏が「満足化(Satisficing)」と呼ぶプロセスを使って十分と思われるものを選択しているのに対して、後者は結果を最大化するために判断を遅らせることに対応しています。

面白いことに、どちらが正解だったのかわからない場合には、前者の「満足化」を行った人のほうが、「最大化」のアプローチをした人よりも自分の決断に満足する傾向があることが知られているのです。

失敗を避けるために情報を集めて吟味することは大事ですが、これ以上は決断するだけだという点にやってきたら、その瞬間に決めてしまうほうがよいのです。

判断に迷ったらコイントスで決める

判断がつかないような悩ましい状況に陥ったときには、コイントスで決めてしまうというテクニックがあります。

乱暴だと思われるかもしれませんが、このハックには一つの工夫があります。コイントスをしてAと決まった際に、どうも心がざわめいて落ち着かないならば、実は心の奥底ではBにしたいと思っていたのだと判断して、そちらを選ぶのです。

コイントス自体は、自分自身の本心を引き出すためのブラフだったというわけです。

同じように、状況を説明することもせずに「AとB、どちらがいい?」と他人に決めてもらうという方法もあります。面白いと思ったほうにする、頭文字が五十音順で若いほうにするなど、ルールはなんでもかまいません。それに対する自分の心理的なリアクションをもとに本当の決断をその場で下します。

これは先ほどの「満足化」の効果をテクニックで作り出す仕組みで、あなた自身の決断への満足度を向上してくれる効果もあるのです。