「すいません、ちょっとトイレに」も有効でしょう。いかんせん生理現象なので上司も行くなとは言えません。ですが、これもあまり多用していると上司に不信感を抱かれます。その不信感が仕事にまで響いてきたら大変ですので、いよいよとなった場合は思い切って切り札を切ってください。

切り札……そう、上司の目の前で実際に失禁するのです。確かにハイリスクな選択肢ではあります。ですが、一度これをやり遂げてしまえば、あなたは己の便意にこれ以上ないリアリティを与えることができます。上司もこれ以降はトイレのトの字を出しただけで、「直ちに行ってきたまえ!」と即答することでしょう。

冗談のように聞こえるかもしれませんが、飲み会の最中に酔い潰れて失禁し、それ以来上司から長い飲み会に誘われなくなった、絡まれなくなった、というアンケート回答が届きました。上司の長話を切り抜けるためには、時としてこれほど苛烈な行動が必要だということです。同僚からも「上司の長話を簡単に切り抜けている」「デキる社員だ!」と思われ、評価もプラマイで言えばプラスになるはずですから、一時の恥など気にしていてはいけません。

しかし、ここまでやってもどうにもならない、長話の権化の如き上司もいるでしょう。そういう相手にはもういっそのこと、「あなたのお話は僕には難しすぎるようです」などと言って、愚鈍な笑みを浮かべながら立ち去るという手もあります。無論、その上司はあなたのことを使えない愚図だと思って見限るでしょう。

ですが、見限られて何か問題があるのでしょうか?

上司、特に課長クラスにとって最も大事な仕事は部下のモチベーションコントロールなのです。長話で部下を辟易させて、作業時間を無為に奪う上司がそれ以上出世できるはずがありません。つまり、そんな上司にどう思われようがどうでもいいのです。そもそも、相手が尊敬できる立派な上司であれば、どんなに長く話をされても「僕のためにこんなに時間を使ってくれて……」と感謝しかないはずです。「長話」と認識している時点であなたは相手のことを蔑んでいます。そんな相手は早めに見限って、より有能な上司に取り入ることこそが正解ではないでしょうか。

そして最後に、上司の長話を完全、完璧に断ち切ることができる最強の方策をお教えします。それは出世してあなたが上司になることです。もはやあなたに長話をする上司はどこにもおらず、それどころかあなたは部下に対して長話し放題。どんなに長話しても誰も文句を言えません。

まだまだ年功序列の残る日本社会。今の苦境に耐え、時間が過ぎるのを待てば次に笑うのはあなたです! 本稿の手練手管を参考に荒波を雄々しく乗り越えてください!

(写真=AFLO)
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