なぜ社内会議には必ず遅れるべきなのか
しかし、以上のようなどう考えても上司の反感を買う護身術を全うするには、あなたには完璧な自己管理と自己保身能力、さらには情報整理能力と優れた文面化能力が要求されます。誰もがそんな完璧超人とはなれません。そこで少しばかりの演出を加えることにしましょう。まず社内会議には必ず遅れて入室します。あまり遅刻が甚だしいと、それはそれで叱責→武勇伝コンボを決められますので、そうですね、10秒あたりが妥当でしょうか。会議が始まり上司が一同を見渡して、「あれ? **くんはまだか?」と思った矢先に、あなたはスマホを片手に慌ただしく会議室へと飛び込むのです。そして、今まさに商談を慌てて切り上げたかのような口ぶりで電話を切って着席し、関係書類を叩きつけるように机に並べます。これだけ忙しさをアピールをすれば上司は十中八九、
「大丈夫か?」
と聞いてきますので、間髪入れずにあなたはこう答えてください。
「大丈夫です! ちゃんと時間空けてますんで!」
これは「時間を空けている」=「次の予定が埋まっている」という暗示であり、「無駄話で会議を長引かせやがったらしょうちしねえぞ」という意味です。上司に確実なプレッシャーを与えることができるでしょう。また普段でも、上司が作業中に話し掛けてきた場合など、直ちに返答をしてはいけません。そのまま5秒ほど、手元の書類を恐ろしい眼光で睨みつけてから、ようやく上司の顔を見上げましょう。それから悲鳴を絞り出すように、
「今すぐ……時間をつくります……少しだけ、お待ちいただけますか……」
と告げるのです。「いま大事な仕事で手が離せませんが、上司さまのありがたいお話を拝聴する時間を何とか捻出いたしますよ。くそ忙しいけど。くそったれ」という雰囲気を全力で出してください。こうした日頃からの演出で「俺は忙しいアピール」を繰り返すことにより、長話のターゲッティングを回避することができます。ただ、これの問題は、あなたがある程度、実際に仕事ができなければいけないということです。ロクに結果も出さないのに日々忙しそうに跳ね回っていると、単に落ち着きのない子だと思われます。