会議とは「ゲーム」である
会議の話が出ましたので、会議を可能な限り早く終わらせる方法についても検討しましょう。まず大切なことですが、あなたはもしかして会議というものを「一つの事案に対して複数人で多角的な意見を戦わせて、よりよいアンサーを得るもの」と考えてはいませんか? そのような認識は百害あって一利なしです。直ちに改めてください。
ダメ上司たちにとって会議とはそういうものではないのです。いいですか。会議とは「上司の話をできるだけ多くの人に聞いてもらうためのもの」です。言い換えれば、「上司がやりたいこと、言いたいことを通すための場」であり、「これは合議の上で決まったんですよ、という体裁を繕うためのもの」です。多角的な視点だの、あなた独自の切り口だのは一切必要とされていません。そんな発言をしても会議が無駄に長引くだけです。これをきちんと理解していないと周りの同僚たちからも白い目で見られますので気をつけてください。
つまり会議とは「上司が何をやりたいのか」「何を言いたいのか」をできるだけ早く探し当てるゲームといえます。誰よりも早くそれを見抜き、誰よりも早く発言しましょう。上司は「オッ、きみ、まさにそれだよ! 私の言いたかったことは!」などと言ってあなたを褒めそやし、会議は速やかに終了します。
飲み会についても言及しておきましょう。読者は飲み会など時間の無駄の最たるもの、飲みュニケーションなど時代ではない、と考えていませんか。それはもちろん間違いのない真理ですが、とはいえ、場合によっては出席を避けられぬのが社会というものです。
飲み会での長話対策としては、「上司を酔い潰す」という方法を取る方が多いようです。確かにそれも一つの方策ですが、しかし、飲みの場は時短のためのチャンスでもあります。そう、あなたが上司を「教育」するチャンスでもあるのです。機を捉えては上司にこんなことを吹聴しましょう。
「いやあ、**部長の話は本当に素晴らしいですね!」
「なにせ短い! 短いからインパクトがあって、心に響く!」
「話を短くまとめるのは、頭が良くないとできない!」
などと、あなたの上司に「話が短い=素晴らしい」という価値観をねちねちと植え付けていくのです。無論、人間、簡単には変わりませんから、繰り返し、繰り返し、粘り強く上司を教育していく必要があります。
忙しさをアピールし、会議では可及的速やかに上司の意を汲み、飲み会では執拗な教育を行う……。ですが、ここまでしても、なお長話をしてくる手強い上司もいるでしょう。そんな相手には小手先のテクニックで乗り切るしかありません。「電話」と「トイレ」です。
着信が来たフリをして長話を抜け出すのは、ビジネスマンなら誰もが一度は経験のあるオーセンティックなメソッドといえます。ですが、あまりにも一般的であるために、上司も「本当に着信が来たのか?」と疑いを抱く可能性があります。これにリアリティを与えるための筆者のオススメは、同僚たちと互助組織をつくることです。互助組織の誰かが上司の長話に捕まったなら即座に彼のケータイに電話を掛けましょう。そして彼が電話に出た隙に、別の組合員が「課長、この件で少しよろしいですか」とインターセプトを仕掛けて上司の話の腰を折るのです。