SNS弁慶と「窓際の逆襲」
窓際の人たちが、組織の変革やサービスの革新を行った、「窓際の逆襲」と言うべきケースは、昔からいろいろあるようです。革新的なことは、中心(メインストリーム)からではなく周辺(アウトサイド)から起こるもの。現状うまくいっているものや、継続して徐々に拡大していくほうがいいようなところからは、当然大きな変化は生まれません。しかし、いつかは衰退し、大きな構造の転換や代替えのようなものが必要になってきます。そんなときは、中心が腐っていき、あまり重要視されなかった周辺の新しい要素がそれに取って代わることで、組織の再生が可能になったりもします。
それまでの間、組織にとって「扱いづらい人」たちは、「窓際」といった社内レッテルを貼られつつも、堂々と存在し続けている必要があります。しかし、年がら年中会社の中で肩身の狭い思いをして過ごすのは、辛いものがあります。
そんな人たちにとってユートピアとなりつつあるのが、今日のSNS社会なのではないでしょうか。会社から与えられたポジションを活用して、さまざまな分野と交流や情報交換ができ、自分の活動を社外の多くの人に知ってもらうこともできます。イベントなどで登壇するだけではなく、メディアから取材される機会も得やすいですし、なによりも、社内に居るだけではできない偶発的な出会いやネットワークを作っていくことも容易で、そんな想定外のつながりから新しいサービスや事業が生まれるというようなケースも多々あるようです。
もしかすると、社内の人たちからは、オンラインだけで威勢のよいただの「SNS弁慶」に見えているのかもしれません。しかし、業界・業種の枠を超えた連携や偶発的な活動の種は、このようなオンラインならではの自由空間にこそたくさん散りばめられています。SNS社会によって、「窓際の逆襲」は格段に起きやすくなっていると思います。
逆襲を果たしたSNS弁慶は、次にやがてリアル弁慶へと変容していくのかもしれません。ただし、本当に仕事ができないだけの人もたくさん紛れ込んでいると思うので、そこは要注意です。