経営者にも役員報酬格差が存在!
そのほかの外食企業で、1億円を超える年俸を得ている経営陣は、コロワイドの蔵人金男会長とゼンショーHDの小川賢太郎会長兼社長兼CEOである。いずれも創業オーナーだ。もちろん、両トップを除いた平均額は低くなり、たとえば、コロワイドの15年度7660万円は3275万円と、半減を下回る平均額になる。創業オーナーとサラリーマン取締役のちがいといえばそれまでだが、経営陣にも年収格差があるということだ。
経営陣の年俸は、従業員にも増して業績連動型にシフトしているだけに、アップ・ダウンは業績に左右されるが、年俸が1億円を超える経営陣を出現する可能性が高い企業も見ておこう。
コーヒー店をフランチャイズ展開していることから株式市場では「卸」に分類されているコメダHDは、すかいらーくと同じように投資ファンドが経営の主導権を握っているだけに、経営成績によっては1億円経営陣が出現する可能性は高いと見ていいだろう。
自社所有株と1株配当金から計算すると、「サンマルクカフェ」のサンマルクHD、「丸亀製麺」のトリドールHD、社名と同じ店舗を展開しているサイゼリヤの経営トップは、年間に3億円前後の自社株配当を得ていると推定できる。自社株を所有していないコメダHDの経営陣とは対照的だ。それだけに年俸にこだわらない面もあるのだろうが、創業オーナーであるだけに、1億円を超える年俸はいつでも可能だろう。
かつては2000万円台もあった社内取締役の平均年俸が1000万円を切っているのは、居酒屋業態の「和民」を新ブランドの「三代目鳥メロ」などにシフトしているワタミだ。同社の創業者で現在は国会議員である渡辺美樹氏は、筆頭株主として1億円を超える自社株配当金を得た(15年度)と推定されるが、現経営陣の懐具合は厳しい環境にあるようだ。
会長と社長の2人が1億円を超える年俸で、平均でも9000万円台だった時期もある三光マーケティングフーズも大幅な落ち込みである。同社の主な店舗は居酒屋業態の「東方見聞録」や「月の雫」などだ。『図解! 業界地図2017年版』では、居酒屋業態の不振にも言及したが、経営陣の年俸からもその深刻度がうかがえるようだ。