全私立大の45%が定員割れの実態
15年、志願者が10万人を超えていたのは、この3校のみだったが、今春は4位の日本大学と5位の法政大学も10万人超だ。日本大は学部が独自に行う入試に加え、複数学部が同一日に実施し、学部間の併願が可能なN方式を導入していた。さらに今春は、1987年に薬学部を設置して以来の学部新設を行ったことも要因になった。東京都世田谷区の三軒茶屋キャンパスに危機管理とスポーツ科学の2学部を設置し、3600人以上の志願者が集まった。
法政大は、学部新設や大幅な入試改革なしに法政大史上最高の志願者数となった。国公立大入試で必要なセンター試験の科目数に近い、5教科6科目型のセンター試験利用方式で志願者が増えた。国立大志望者の目が法政大に向いた影響が大きいようだ。地方の受験生も増えており、首都圏の難関総合大としては初の女性総長である、田中優子氏のマスコミへの露出度も影響したと見られる。
6位の立命館大学は、入試方式の多様化などにより、01年から4年連続で志願者10万人超だった。その後、入試方式の整理により、7万人台まで減ったが、15年に大阪府茨木市に大阪いばらきキャンパスを開設し、経営と政策科学の2学部を移転したこと。さらに今春、同キャンパスに総合心理学部を開設するなどの改革の効果で、10万人台の一歩手前まで戻った。
7位の東洋大学は、東京都心のキャンパスへの文系学部集中化や学部新設を行ってきた。さらに近畿大と同時期に出願を完全Web化するなど、様々な改革が奏功し15年に過去最高の志願者数となり、今春更新した。来春は、国際、国際観光、情報連携の3学部を新設するため、さらに志願者数を伸ばす可能性が高い。
ベスト10の他大学の志願者数を見ると、8位の関西大学は13年から8万人台で安定。9位の千葉工業大は、学部改組などの影響で前年を約2万5000人上回り、志願者減が続いてきた10位の中央大も、入試方式の変更などにより今春は増加に転じた。
有名大学が動くと志願者が増える。受験生の有名大学志向は強く、ランキングの上位10大学で、私立大の一般入試全体の志願者の26%を占める。こうした勢いがある大学がある一方で、16年は全私立大の45%が定員割れをしている。今後、18歳人口がさらに減少していく。有名大学志向を背景に、定員割れの大学はさらに増えそうだ。