大企業が来る前に環境整えたい

――取引先から見たら、株式会社だと通りがいい。そんなイメージがあるぐらいですかね。
本社にほど近い自社圃場にて

【山田】うちも「こと京都」に名前を変えたタイミングで株式会社にしました。あまり関係がないと思います。

――どこの農業法人も人材の確保を重要視しています。どんなタイプの人が農業経営に向いているでしょうか。

【山田】僕自身は、農業にはこういう人、工業にはこんな人が向いているというのは、ないと思ってます。その人がどう取り組むかだけなんです。少しでも農業に興味があれば、採用上の一要因になりますが、あとは挨拶、礼儀、笑顔、元気、そして向上心があればいい。

農業を目ざす人のなかには、営業や加工が嫌いという人もいます。だけど、うちにくれば社員なので全部やってもらう。結局は、その人に向上心があるか、ないか。採用してからも、経営理念の共有や外部からのコーチングはもちろん、年に二回は面接をしていますね。

福利厚生のようなものでは、社員全員で年3回会食したり家族を招いての懇親会を随時行ったりしています。また社員やその嫁さん、子ども、ご両親にも、誕生日にはお花を贈るようにしています。

――モチベーションですね。

【山田】ええ、そうです。社員教育というのは、まず経営理念を理解し、共有するところから始まります。自己啓発も支援して、食事会などでコミュニケーションを深める。研修生の期間は5年です。最初の2年で体力をつけて、残りの3年で事業計画を組んで、生産体系を覚える。5年目に独立後の具体的な計画を組んでもらって、独立後は、その人がつくったものは全部買上げます。

――最後に、ぜひお聞きしたいのですが、農業で儲けるために一番重要なポイントは何でしょうか。

【山田】いまがタイミングだということです。本当にいまが勝負時。いまや、と思ってますから、投資しています。企業も、いまどんどん入ってきてます。早くやらないと乗っ取られてしまう。大企業が九条ねぎを取りに来たら、すぐにひっくり返されますよ。その前に「こと京都」「こと日本」と組んだほうがいいという環境を整えたいんです。

(大和田悠一(有限責任監査法人トーマツ)=聞き手 山岡淳一郎=文・構成 尾崎三朗=撮影)
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