何があっても自分を信じ、自力で解決せよ
さて、現実はいつも厳しい。そういうなかを生き抜いていくには何が必要になるのか。『韓非子』のアドバイスに耳を傾けておこう。
「人を恃(たの)むは自(みずか)ら恃むに如(し)かざるなり。人の己(おのれ)の為(ため)にするは己の自ら為にするに如かざるなり」(外儲説(がいちょせつ)右(ゆう)下(か)篇)
他人を頼むよりは、自分を頼むべきである。他人の力を当てにするよりは、自分の力を当てにすべきである。
『韓非子』によれば、人間は利益によって動く生き物であってどう転ぶかわからない、人間はしょせん信用できないのだという。そういう人間観に立つ以上、他人を頼むというのは愚かなことである。何が起こっても、自分を信じ、自分の力で解決していく以外にないということになる。
韓非の思い描く人間像は著しく孤独である。しかし、これがよい方向に活かされるなら、独立自尊の精神につながっていく。自分のしたことは、自分の責任として引き受けるのである。甘えたり甘えられたり、べたべたくっついている人間関係より、はるかにたくましい生き方ではないか。
自分の運命は自分で切り開いていく。韓非はそれを訴えているのである。
※本連載は書籍『ビジネスに効く教養としての中国古典』(守屋洋 著)からの抜粋です。