私も心が折れることはあります
以前、私たちはイギリスの通信社であるロイターで活躍している写真家を起用し、ワシントンDCで報道のビジネスを立ち上げようと考えました。そこで相当な時間をかけてこの写真家を説得したのですが、答えはノーでした。
実は写真家の父はロイターで40年間仕事をし、自身も25年間働いていたため会社が家族のような存在になり「行きたいけれど、移れない」と言っていました。
その連絡を受けた夜、私は写真家の自宅に電話を入れました。彼は私が怒って連絡をしてきたと思ったようですが、私はこう言いました。
「あなたの気持ちはよくわかります。本当に素晴らしい方だというのもよくわかりました。ですから将来、機会があったら私たちと仕事をしてくれると嬉しいと思います。一度、ランチでもご一緒しましょう」
そして2年後、彼は私たちと一緒に仕事をするようになりました。
私たちの業界は変化が激しいので、自分がやろうとしていることが絶対に正しいという自信はありません。しかし、とにかく何かをやらなければいけないことだけはわかっています。自信がなくてもとにかく始めてみて、うまくいかなければどんどん修正し前進していくことが大切です。
こんなお話をしてきましたが、実は私も心が折れるときはあります。周囲に気付かせないだけなのです。一歩外に出たら「ショータイム」ですから。
1960年、南アフリカ共和国生まれ。ケンブリッジ大学で法律の修士号取得後、英投資銀行のハンブロス銀行を経て、95年にマーク・ゲッティとともにゲッティ イメージズ設立。