離職率が2%を切る秘密

大原氏自身、横田氏の話を聞き、何度も会社訪問を繰り返して、入社を決断。最初から新卒採用を統括するリクルート室に配属される。だがここは新設部署で、スタッフは彼一人。横田氏からは「自分で考えて好きなようにやっていい」といわれた。

「当社は社員第一主義が大前提ですから、誰一人辞めない会社づくりをしていこうと思いました。それには、お客様に喜んでもらうこと。私はCSでもCDでもなく、顧客幸福、すなわちカスタマーハピネス(CH)をめざそうと訴えてきました」

大原光秦氏
1989年、ネッツトヨタ南国入社。2007年からビスタワークス研究所所長。

そんな大原氏は、社員のチームワークの必要性も説く。ネッツトヨタ南国では、顧客向けのイベントを開催することも多い。そのためのプロジェクトチームには、管理職は加わらず、部門横断的に若手社員がメンバーとして積極的に集まってくる。

カーオリエンテーリングという行事では、ショールームを離れて、顧客とスタッフが楽しい1日をともに過ごす。いってみれば、非日常空間で顧客とスタッフが楽しい1日をともに過ごすのだと大原氏は説明する。

「このときはすごく盛り上がりますね。一生懸命に準備をして、お客様が喜んでくれるのはもちろんのこと、全部自分たちの手づくりで成し遂げたという充実感があるのだと思います。そこでは、社員同士の意外な側面も見えて、よりお互いの理解度が増すという効用があります」

CS、そしてES向上にゴールはない。まして、満足にとどまらず、感動や生きがいといったレベルを目標にするならなおさらだ。そこには安易なマニュアルなどないのだ。

(奥谷 仁(鎌田氏)、竹村 豊(横田氏、大原氏)=撮影 時事通信フォト=写真)
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