学歴不詳率 最高の豊島区は42.9%!

以上は都道府県単位の比較ですが、さらに下って市区町村レベルでみると、もっとスゴイ値が出てきます。図3は、首都圏(1都3県)の市区町村別の学歴不詳率を地図で表したものです。4つの階級幅を設け、各市区町村を塗り分けています。

東京の都心で色が濃くなっています。

最高の豊島区では、学校卒業人口の学歴不詳率が42.9%にもなります。この場合、残りの57.1%(有効回答分)から住民の学歴構成を推し量ることになりますが、ここまでくると信憑性ある統計としては使えません。

基幹統計の『国勢調査』でも、ここまで無回答(回答拒否)が多くなっていることに驚かされます。未来の方向を指し示す羅針盤が壊れるようなもので、一国の危機にもつながるでしょう。

ちなみに、『国勢調査』をはじめとした官庁統計調査への回答は、統計法という法律で義務付けられています(第13条)。回答拒否や虚偽報告に対する罰則も定められています(第61条1号)。現状では道交法と同じくらい守られていませんが、事態がもっと酷くなるようなら、この規定を厳格に適用する必要も出てきます。

今後はネット回答(全設問に回答しないと送信不可)が普及することにより、無回答率は減るかもしれません。しかしまだ、紙での回答が主流です(2015年の『国勢調査』のネット回答率は36.9%)。多くが、ITに疎い高齢者でしょう。2015年、2020年の『国勢調査』では、無回答率の年齢曲線や地図の模様も変わっていると思われます。これから先の変化にも要注意です。

「統計は未来を示す羅針盤」

私が好きな標語ですが、この羅針盤の精度は皆で高めていくものです。それにより、限りある資源の適正(効率)配分が促され、社会がよくなります。これから順次、2015年の『国勢調査』の集計結果が公表されますが、無回答率が下がっていることを願います。

(図版=舞田敏彦)
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