高学歴女性、仕事と家庭の両立の可否をわけるもの
日本総合研究所が東京圏で暮らす25~44歳の東京圏に所在する4年生大学または大学院を卒業した女性(以下、高学歴女性)を対象に実施した調査結果(以下、アンケート調査結果)によれば、卒業後の進路として正規雇用の職に就いて結婚した1364人の女性のうち、結婚後も正規雇用で働き続けた女性の割合は65.1%、第1子出産時点では、48.1%にまで下がります。
第1子の出産を契機に半数以上の高学歴女性が離職をしてしまう現状を踏まえ、アンケート調査結果のデータ及び筆者の同僚や友人からのヒアリングから、仕事と家庭の両立ができる人・できない人の違いについて考えてみました。
高学歴女性の仕事と家庭の両立の可否を分ける分岐点はどこにあるのでしょうか。
今回は、配偶者(夫)、職場、本人の心境の3つに着目して取り上げます。(*ここでの分岐点の順番は必ずしも時系列ではないという前提です)
▼分岐点1【結婚した夫が、家事メン・イクメンであるか否か】
アンケート調査結果では、まず第1子出産後、同じ会社で就業継続した女性と両立を希望していたがやむなく離職した女性の双方に、「家事・育児負担割合」を比べました。すると、配偶者(夫)による家事や育児の負担状況に差が見られることが明らかになりました(図表1)。
「妻による“育児”負担割合が80%以上」と回答した割合は、同じ会社で就業継続した女性は56.1%、一方、離職した女性は77.3%でした。夫が家事メンであるほど就業継続している女性が多いのが特徴的です。
では、家事に関してはどうか。
「妻による“家事”負担割合が80%以上」と回答した割合は、同じ会社で就業継続した女性は44.5%で、離職した女性は86.4%でした。離職した女性は、夫の支援がほとんど得られていなかったことが分かります。
筆者が行ったヒアリングでは、夫に加えて両親(義両親含む)までもが、
●「子どもが小さいうちは家にいてほしい」
●「夫が仕事に集中できるようにサポートしてほしい」
といった意向が強く、離職せざるを得なかったというケースがありました。
さらに、仕事や夫の理解がないことが原因で離婚問題にまで発展しているケースも珍しくありませんでした。家事メンやイクメンの夫を持つことが、両立の分岐点の1つ目といえます。