もう一点、情報の質を高めるうえで指摘したいのは、「タイトル・見出しと内容との関連」です。タイトルには「◯◯の特徴」とあるのに、テキストを読むと調査した凡庸な結果がただ羅列してあるだけで、そこから抽出された何かがあるわけではない。同様に、タイトルまわりに「◯◯の成果」とうたっているのに、自分たちが資料作成時に調査したことばかり書き連ね、「◯%削減」といった情報がないこともあります。
「情報の量」にも配慮が必要です。例えば、業務の効率化を提案する際、A4・1枚に「営業マンが日々受け取るメール平均数」を巨大なフォントで「500通」とだけ書く方法もあります。「500」という数字が目に飛び込んでくるので、読み手は「そんなに多いなら処理時間が大変だ、(SNSなど)何か対策を考えないと……」と考えるように導かれるのです。
情報を盛り込みすぎると本質が見えなくなる傾向があります。
適切な量に抑えるには3つの方法があります。
1つは「まずは減らす」こと。修飾語や冗長な語尾は削除します。文章は個条書きにする。それをさらにキーワードレベルまで抜き出し、最終的には図解できるところは図解にします。
2つ目の方法は「因数分解」です。繰り返し出てくるワードがあれば、ab+ac+ad=a(b+c+d)と因数分解の要領でくくって整理しましょう。
3つ目として「量を制限する」のもいい作戦です。作成する資料のフォントサイズや記載スペースを事前に決めてしまえば、結果として自動的にいらないものを削ぎ落とす作業が行われ、情報がシェイプされるのです。
続いて表の作成方法をご紹介しましょう(図を参照)。「項目切り出し」「記述方法決定」「強調・メッセージング」の3ステップで完成します。特に押さえていただきたいのは「項目切り出し」。表の縦軸や横軸になる評価項目を切り出します。ポイントは情報の因数分解をして、共通項を切り出すこと。うまくできれば、評価項目のレベルや順序が整い、ひと目でメッセージを理解できる表になります。