最近、中身のない、わかりにくいパワポ資料が増えている。自分の主張を簡潔、的確に提示する資料の作り方とはどのようなものか? 孫正義秘伝のワザを愛弟子、ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト 三木雄信代表取締役社長が開陳する。

新しいプロジェクトを立ち上げる場合、まず決定権を持つ上層部を説得しなければならない。そこでカギとなるのが、プロジェクトの説明資料である「社内企画書」だ。

ここにプレジデント・オフィス・サービスの企画書がある。同社は企業向けの貸会議室事業を手がけており、企画書では「利用頻度の少ない既存客を掘り起こし、会議室の稼働率と営業利益率を上げる」という新規プロジェクトを提案している。

しかし、まず上層部に「このプロジェクトならいけそう」と、のっけから思わせることが肝心だ。私はソフトバンク社長室長として、「プレゼン名人」と謳われている孫正義社長に仕え、資料のまとめ方を徹底的に叩き込まれた。

孫社長の口癖は「結論から言え、結論から」。某有名コンサルティング会社では、エレベーターに乗っている間に相手を説得するテクニックを「エレベータートーク」と言うそうだが、ソフトバンクではもっと短い。最初の10秒で孫社長に核心を伝えなければ、話を聞いてもらえないのだ。

その場で相手の心を掴むには、企画書は簡潔にして、要を得たものでなければならない。だから「ワンシート・ワンメッセージ」が説明資料の鉄則だ。分厚い企画書は不要で、A4用紙1枚に要点のみを記載すれば十分。基本メッセージも、なるべく20文字以内にまとめるよう心がけたい。詳しく説明しようとして、何でもかんでも盛り込みすぎると、かえって相手の理解を妨げてしまうのだ。

さっそく、次ページの見本を元にポイントを解説していく。