【○AFTER】

この表題には、プロジェクトの目的である「稼働率および利益率向上」を入れた。これこそがキーワードだからだ。稼働率アップは“箱物ビジネス”の経営幹部であれば、誰もが関心を持つはずのテーマだ。

より説得力を高めたいのなら、“数字”をうまく使おう。ビフォーはせっかくの数値データを羅列しているだけであり、理解が一向に進まない。数値データを生かすなら、ビジュアルに訴えるようにしたい。図のように、「稼働率70%→80%」といったグラフにすれば、一瞬でプロジェクトの意義が伝わるはずだ。

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企画書(AFTER)

(1)経営者の心に刺さるタイトルの工夫を――タイトルが企画書の成否を決める。ここでのキーワードは「稼働率」と「利益率」。それらのアップを、「既存顧客リスト」という新規投資の必要のない経営資源の活用で実現することを一言で表現した。タイトルについては最後の最後まで考え抜くこと。

(2)2割と8割の対比を棒グラフで示す――キャッチにあるように、2割の顧客が売り上げの6割を占めていることがポイント。これを同じ背丈の棒グラフで対比させることで、一目でわかるようになった。棒グラフは横置きよりも縦置きのもののほうが、対比が鮮明になることを覚えておこう。

(3)稼働率と利益率を1つのグラフに集約――稼働率をアップさせることで営業利益率の向上を目指すというキーメッセージをビジュアル化するために、横軸に稼働率、縦軸に営業利益率を置いて1つのグラフにまとめてみた。ダラダラした文章で説明するよりも格段にインパクトがある。

(4)キーとなる数字を吹き出しで強調する――数字をグラフのなかに入れるとどうしても埋もれてしまう。そこでこのように吹き出しを使って出しておけば、経営者などの決定権者に強くアピールすることができる。

(構成=野澤正毅)
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