死ぬまで影響力を行使し続ける「老害」
よく日本のサラリーマンは終身雇用と言われるが、実質的には定年までの雇用にすぎない。ところが社長経験者はそれこそ“終身雇用”であり、亡くなると社葬という形で葬式までやってもらえる。
しかも、新社長は指名してもらった以上、前任の社長の経営方針を全面的に改めるといった大改革ができない。恩義もあるが、やろうとすれば会長、相談役らが徒党を組んで反対に回るなど影響力を行使しようとするからだ。
いつまでも口を出し続ける老人たちがいる限り、思い切った事業構造改革などできるはずもないし、その結果、経営的に追い込まれていく。
ご存知のように欧米企業のCEOは外部のプロ経営者であれ、生え抜きであれ、業績を上げれば高い報酬をもらえるが、達成できなければ責任をとって4年ないし6年で退任し、会社から完全に離れるケースが多い。
しかし、日本では業績不振でも社長を続ける人もいれば、社長を交代してもその上に居座り続ける。日本を「老害大国」と言うゆえんである。
東芝は今年6月の株主総会で相談役制度を廃止し、役員経験者が全員一律に顧問に就く現在の制度を見直す予定だ。日本ではよほどの不祥事がない限り、老害はなくならないのかもしれない。