オリンパス旧経営陣は「老害」で逮捕

たとえば2012年2月に菊川剛前社長ら旧経営陣3人を含む7人が逮捕されたオリンパスの損失隠しによる粉飾決算事件も老害が生んだ悲劇だった(逮捕時菊川氏は71歳)。

菊川氏は2001年から社長を退任するまで10年間社長に君臨。自身が起用したマイケル・ウッドフォード社長が不正をかぎつけると、社長解任に追い込み、再び社長に復帰した。

オリンパスの第三者委員会の調査報告書(2011年12月6日)は経営トップの隠蔽体質をこう指弾している。

<本件は、社長、副社長、常務取締役等のトップ主導により、これを取り巻く一部の幹部によって秘密裡に行われたものである。オリンパスにおいては、このような会社トップや幹部職員によって不正が行われることを想定したリスク管理体制がとられておらず、これらに対する監視機能が働かなかった。経営中心部分が腐っており、その周辺部分も汚染され、悪い意味でのサラリーマン根性の集大成ともいうべき状態であった>

痛烈な批判であるが、「経営トップが腐れば組織も腐る」よい見本である。さらに原因は組織風土にも及び、経営トップが長期間にわたるワンマン体制を敷いたことで会社内部において異論を述べることがはばかられる雰囲気が醸成されていたという。

報告書は<役員の間に社長交代のシステムが確立されておらず、恣意的にこれを占めることが可能になっていた。風通しが悪く、意見を自由に言えないという企業風土が形成されており>と指摘し、こう述べている。

<健全な経営感覚からすると疑いを持ってしかるべき取引が取締役会に上程されたとき、正確な情報が与えられないこともあったが、十分な検討が行われた形跡はない。取締役会にはイエスマンが多く、取締役会は形骸化していたと認めざるをえない。社外取締役もこれにふさわしい人物が選ばれておらず、機能していなかった>

取締役会が議論の場というより、単なる承認機関になっている会社はオリンパスだけではない。