実践6:ご褒美効果を高めるには部下の価値観を探れ!

ご褒美効果をより高めるには、そのベースとして、働く人のモチベーションをアップさせるような職場の環境づくりが大切だ。太田氏は、上司が部下と接する際に意識したいポイントが7つあるという。

「任せる」「頼られるようにする」「励ます」「注目される機会を与える」「役立ち感(自己有用感)を与える」「みんなで盛り上がれるようにする」「異性と一緒に仕事をさせる」である。

「よくあるのは、『この仕事は君に任せた』と言いながら、後で『私に相談もせず勝手なことをするな』などと矛盾した叱り方をするケース。これは、どこまで任せるか線引きがはっきりしていないから起こることです。線引きを明確にし、任せた限りは一切口をはさまないといった割り切りが重要です。最後の『異性と……』は不真面目に思うかもしれませんが、さまざまな企業や組織で調査をすると、若い人などは『どんなに残業が多くても異性の社員が一緒だったら楽しい』などと正直に話してくれます」(太田氏)

成瀬氏が重視するのは、部下のモチベーションが自然に上がるようにすること。そのためには、上司が部下の価値観を理解することが大切だという。

「上司は部下の欠点ばかりを探しがちです。その思考回路を見直し、“いいところ探し”をする習慣をつければ、職場の雰囲気も自然と変わってくるはず。また部下の悩みや本音を聞き出したいなら、外回りの移動時間を利用するのも手です。人は横並びに座ったり、体を動かしているときには話しやすくなることがあるからです。部下の価値観を知るには、『最近、どんなことにお金や時間を使っているの?』などと聞いてみるのもいいでしょう。部下の価値観に純粋な好奇心を向けることがポイントです」とアドバイスするのは、『ハーバードの人生を変える授業』を翻訳し、ポジティブ心理学を応用したセミナー講師としても活躍する成瀬まゆみ氏。