そもそも、日本人がハーバード教育大学院に出願するには、英語の総合力を測る外国人向けテストの「TOEFL」と、「GRE」という米国人も受験するテストを受けなければならない。

GREの構成科目はVerbal(英語)と数学とエッセイだが、本山さん曰く、「数学はそれほど難しくない」ので、対策すべきは実質、英語のみということになる。

まず、TOEFLには「リスニング」「リーディング」「スピーキング」「ライティング」がある。どれも難しいが、非ネーティブにとっては特に鬼門といえるのが、リスニングとスピーキングだ。

「私の場合は英語に耳を慣らすため、勉強を始めてから3~4カ月は集中的にTOEFLのリスニング問題に取り組み、英語のラジオやYouTubeの著名人のスピーチなども聴きました。たとえば、よく知られているスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式での名スピーチは、聴くだけでなく覚えて、自分で真似したりもしましたね。これは、スピーキングの練習にもなると思います」

名スピーチには魂がこめられている

スピーチを真似するときは、1人で部屋にこもり、その人になりきって抑揚のつけ方なども再現していたという。

「心を動かす名スピーチには魂がこめられているので、真似することで自然と力がわく感覚がありますし、自分も頑張ろうとモチベーションが上がります。大声を出せばストレス発散にもなりますし」

英語を聴き、話し続ける中で“英語耳”とでもいうべきものができると、勉強開始以降しばらく低迷していたTOEFLの点数は、急激に上がったという。

さらに、リーディングやライティングのためには語彙を増やす必要がある。

「語彙に関してはGREで得点を伸ばすためにも必要で、私の場合はTOEFL対策でまず約4000語、GRE対策でさらに4000語を丸暗記しました」

合計8000語もの単語を頭に叩き込めたのも、やはり地道な努力の賜物だ。

「TOEFL対策でもGRE対策でも、1時間に40語と決めて、1日400語、10日で4000語を一巡し、1カ月ですべて覚えるというノルマを自分に課しました。4000語というと途方もないですが、1時間に40語なら何とかなります。もちろん、一度で全部は覚えられていませんが、同じことを何度も繰り返すと、徐々に身についていきます」