外部の会計監査は情報が不足

では、監査法人などが行う会計監査はどうか。社内に比べてしがらみは少ないが、ネックは情報の少なさだ。

「帳簿を分析して不自然な点が見つかれば、監査法人は当然、説明を求めます。ただ、会社から『こういう理由で、この数字になった』とウソをつかれると、その説明を覆せる客観的な証拠を握っていないかぎり、それ以上の追及は難しい。同じことは、社内に情報源を持っていない社外取締役にもいえます」(樋口氏)

監査側に情報という武器を持たせるには、内部通報制度を整えることが重要だ。東証のコーポレートガバナンス・コードでは、制度の独立性を保つため、通報窓口を社外取締役と監査役の合議体にすることが求められている。その点では一歩前進だが……。

「結局はトップしだいです。トップのコンプライアンス意識が低ければ、通報者は通報することで自分が不利益を受けるのではないかと不安になり、通報をためらうでしょう」(同)

制度を整えても、機能するかどうかはトップの意識に左右される。東芝は昨年9月からの新体制で社外取締役を7人に増やすなど再発防止策を打ち出した。トップの本気を見極めたい。

(図版作成=大橋昭一)
関連記事
「東芝不適切会計」第三者委員会報告書で深まる混迷
東芝エリート「不正に目をつぶって高収入・出世」の何が悪いのか
社外取締役は日本企業をダメにする
大きすぎる「内部告発」のリスクとは
不正会計リスク -会計士の職業的懐疑心の発揮で問題は解決するのか?