チェックの結果は会社に秘密にできる

12月から「ストレスチェック制度」がスタートした。この制度で、事業者は年に1回、労働者のストレスの状況について検査を行い、高ストレスと判定された労働者から申し出があれば、医師の面接指導を行うことが義務化された。面接指導の結果、必要と認められれば、事業者は就業場所の変更や作業の転換など、就業上の措置を講じなければならない。

ストレスチェックが義務化されているのは、労働者数50人以上の事業者(50人未満は努力義務)。健康診断と違って、労働者側に受診義務はない。

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ストレスチェックの流れ

検査は質問項目に「そうだ」「ややちがう」などと答える簡易的なもので、事業者から依頼された医師や保健師などの専門家が行う。事業者が勝手に労働者個人の検査結果を見ることはできない。また、実施者となった専門家は、労働者の同意なく検査結果を事業者に伝えることが禁止されている。つまり本人が嫌なら、ストレスチェックの結果を会社に隠し通すことは可能だ。気になるのは結果を会社に伝えたとき(図中2)の会社の反応だろう。高ストレスと判定されたことで問題社員と認識され、望んでいないのに閑職に回されたりするおそれはないのだろうか。労務問題に詳しい千葉博弁護士は次のように解説する。

「改正法では、面接指導の申し出を理由とした不利益な取り扱いが禁止されています。ただ、法律が守られるかどうかは別の話で、ほかの理由をつけて不利益な取り扱いを受けるリスクは残ります。自分の状態を知るためにストレスチェック自体は受けたほうがいいと思いますが、面接指導を申し出るかどうかは慎重に判断すべき。会社が選んだ医師による面接指導が不安なら、自分で外部の医師に相談する方法もあります」