この塵劫記のなかに「馬乗り算」という問題があるので、挑戦してみてほしい。
「甲・乙・丙・丁の4人が6里の旅をする。馬は3頭しかいないため、3人が馬に乗り、1人は歩く。途中で交代しながら4人とも同じ距離だけ馬に乗ろうとすると、1人が馬に乗れる距離はどれだけか?」が問題だ。
まず、馬に乗れる距離の合計を考える。3頭の馬で6里の距離だから、「3×6=18里」となる。この距離を4人で公平に分けると、「18÷4=4.5」。つまり答えは「4.5里」である。1.5里進むごとに交代すればいい計算になる。
この馬乗り算の考え方は現代にも応用できる。
たとえば「スケジューリング」だ。「あるスーパーでA・B・Cの3人のアルバイトが働いている。毎日2人が出勤しなければならず、かつ3人の出勤日数が同じになるためには、1カ月に1人何日ずつ出勤すればよいだろうか?(1カ月30日とし、定休日はないものとする)」。
先ほどの馬の問題と同様に、まず出勤日の総数を出す。毎日2人が出勤するので、「2×30=60日」。これを3人で等分すると、「60÷3=20」。つまり答えは「20日」だ。残りの10日間は休みということになる。
このように馬乗り算は、勤務シフトや効率のよい作業工程を求めるときに、いまも便利な算法として使えるものなのである。