話題になっていたものの、難しそうで敬遠していた本の数々。斯界の第一線で活躍する権威たちが、それら一見して難解そうな書の読み方を手ほどきする。
仕事上の偶然性の検証に必要不可欠な手法
最近、書店で統計学の本が目立ちます。おそらく、買う人のニーズとしては「統計学的思考をビジネスシーンで活かしたい」ということでしょう。実際、仕事上の出来事を偶然なのか、そうではないのかを、検証するには統計学の手法が不可欠です。その成果はビジネスの“次の一手”を導き出すかもしれません。
そうした本に『統計学が最強の学問である』があります。統計で用いられる誤差とか回帰分析といった、やや難解な考え方が、身近なエピソードを通して理解できます。たとえば、オリンピックで国内予選1位の選手が本大会で平凡な記録に終わるのは、平均値への回帰で説明できます。こうした知識を持っていれば、ビジネスにおいてもデータの見方が変わってくるでしょう。
実は世の中には、こうした現象はよくあることなのです。そこで営業を統計学的に分析して、成功の事例を増やそうというのが『仕事に役立つ統計学の教え』。結論としては、アタック数を増やすことが何よりも重要ということになるのですが……。
とはいえ、統計学の素養を身につけることは、ビジネスでの武器を一つ加えることになります。もう一冊の『ヤバい統計学』は、入門書的な読み物としてお勧めです。
■統計学を制するものが世界を制す
『統計学が最強の学問である』
西内 啓/ダイヤモンド社
あみだくじの必勝法からビジネスでの活用まで、統計学の守備範囲は非常に広い。統計学は、どのような社会現象でも、一定数のデータさえあれば因果関係を解析し、最速で最善の答えを得られる。そのため、古くから活用されてきたが、近年ではITの発達と結びつき、ますます利用環境が整ってきている。いまや「統計学を制する者が世界を制する」といっても過言ではない。こうした点から、この本では統計学こそ「最強の学問」と位置づけ、現代ビジネスマンが生き抜くための知識を与えてくれる。