話題になっていたものの、難しそうで敬遠していた本の数々。斯界の第一線で活躍する権威たちが、それら一見して難解そうな書の読み方を手ほどきする。
本の世界は不思議で、「隠れた名著」といわれるものほど売れない。厳めしいタイトルがいけないのか、本を開いたら専門用語がずらりと並んでいるのがいけないのか。「難しそうだ」という印象を受けたとたん、本を書棚に戻してしまう人が多い。
科学作家の竹内薫さんは「隠れた名著といわれるものほど、最初の“つかみ”が下手なことが多いのです」と前置きをしたうえで、そうした一見難解な書に挑戦する意義を次のように語る。
「多少難しくても、最後まで読み通したら絶対に得をします。むしろ少しは苦労しながら本の内容を理解したほうが、充実感を味わえるでしょう。タクシーで観光地巡りをしても、あまり印象に残りません。でも、自分で車を運転して回ると、苦労して道を探したためなのか、『あそこはこうだった』といくつもの思い出をつくれるのと同じなのです」
とはいえ、難解な本を開いたとたんにどうしても瞼が重くなってくる人も少なくない。そんなときはどうしたらいいのだろう。
竹内さんは「つまみ食い読書」を勧める。わからないところは飛ばして、大づかみで理解するだけでもいいという。それならば、話題となっていたものの小難しそうで敬遠していた本にも、手が伸びそうだ。
本物志向で人々の行動を促す旬の本
-ビジネス書評家 土井英司
しかるべきビジネス書を、しかるべき読み方をすることで、ビジネスチャンスを掴むことができます。私が「しかるべき」というのは、ビジネス書には“旬”があるからにほかなりません。リーマン・ショック後のいまは、価値観の振り子が拝金主義から本物志向に振れ、人々の行動を促す本が読まれています。
その一冊が『ビジネスモデル・ジェネレーション』。2010年にアメリカで発売されたこの本には、グーグルなどのビジネスモデルの実例を引きながら「どうやってビジネスモデルをつくるか」という思考の枠組みが実践的に書かれているのです。