なぜアメリカの生保本社は遠隔地なのか?
生保に限らず日本の大企業が超一等地に本社を置く理由は、もう1つあるのですが、その前に、アメリカの保険会社の本社はどこにあるかについてお話しましょう。
東海岸コネチカット州都・ハートフォード、中西部アイオア州都・デモイン。この2つの都市に共通していること。それは、ニューヨークなど大都市にも保険会社の本社は多いのですが、この2州都には数十の保険会社の本社が集中していることです。いわば「保険の都」なのです。アメリカは合衆国ではなく実体は合州国。保険業は国法ではなく州法で規制されているのです。
実は、両州とも、州の政策で保険会社の法人税を数%安くしています。州政府はそのことで保険会社を招致して、経済の基盤にしているというわけです。
ハートフォードには、1800年代から保険会社ができ始め、州政府の政策の影響などもあり、その数が増えていきました。
デモインには、プリンシパル・フィナンシャル・グループや、アメリカ大手保険グループ、マーシュ・アンド・マクレナンなど大手の本社があります。
ただ、ハートフォードもデモインも州都ですが、それほど大きな街ではありません。例えば、デモインには高層ビルもありますが、肥沃な土壌に恵まれた重要な農業の中心地です。私も両方の街を訪問したことがありますが、どことなくローカルな印象が残っています。
デモインで連泊したホテルのレストランのメニューが1日目はでかいビーフステーキにポテト。2日目は、肉が豚肉に変わっただけで、まったく同じポテトがついていました。良くも悪くもアメリカ式ですが、ニューヨークのような大都会の洗練された感じはありません。
日本は金融庁、アメリカは法人税。「その場所」に本社を置く理由は、国は違えども、しっかりと存在するということでしょうか。