自分を語る数字をいくつ持っているか
たとえば私の場合、「2万人以上の人を面接してきました」と言えば、人材の専門家であることが容易に伝わる。マスコミ業界の中途採用に臨むなら、「7つの雑誌で編集長を務めてきました」と自己アピールするだろう。「関東エリアの自動車販売で3年間トップをとり続けました」など、誰にでも「すごい!」とわかる好成績があれば言うことなしだが、そこまで目立った功績がなくても「自分の数字」を見つけることができれば、相手の興味・関心を引き、有能さや魅力をアピールすることができる。
たとえば構成作家の安達元一さんは、『視聴率200%男』という書籍を出版している。もちろん、現実に「視聴率200%」などという数字はありえないが、彼が手がけた番組の1週間の視聴率を足したときに「視聴率200%」になったのだという。そもそも彼は日本を代表する番組を作り続けた人物で、その実績はたしかなものだ。しかし、「人気番組をいくつも手がけてきた構成作家です」と自己紹介するより、「視聴率200%男です」と表現したほうがインパクトは強い。そして、誰にでも他人の興味を引く「自分の数字」はある。たとえば、「剣道部で主将を務めました」ではなく、「剣道部に所属した3年間で3万回以上の素振りをしました」のほうがインパクトは強い。「富士山と同じ高さの~」「東京ドームの3倍の~」など、スケールの大きさを感じられるたとえ方をするのも有効だ。このように柔軟に考えていくと、相手の心に訴える「自分の数字」が見つかるのではないだろうか。
プラネットファイブ代表取締役。リクルートの人事責任者として、採用・教育研修・能力開発などを担当。現在は企業の人材採用・教育研修・モチベーション戦略などをテーマにコンサルティングを展開する。