「就職に苦労したか、楽勝か」程度の違い
年功序列色の濃い大企業と違い、当社のように年齢フリーが前提だと、「どの世代が使いやすい」とか「どの世代は戦力にならない」という考え方はしなくなるものです。
私の友人に、かつてイギリスの駐日大使を務めた英国人がいます。彼は大使時代、英国の人たちから「日本人ってどんな連中なんだ?」と質問されると、いつも「我々と同じで、いい人もいれば嫌な人もいるし、立派な人もいればだめな人もいるよ」と答えていたそうです。
世代論も同じ。血液型占いのようなものです。メディアで言われるように、世代による違いの原因が就職に苦労したのか、楽勝だったのかという程度のことなのであれば、それがその世代の人たちの物の考え方にそれほど大きな影響を与えたとは、私には思えません。それより、それぞれの人が育ってきた環境や受けてきた教育の違いの影響のほうが、ずっと大きいでしょう。
単純に「どんな人が一緒に仕事しやすいか」という意味なら、私の場合、1つは「明るく元気な人」です。職場で一緒に仕事するのに、いつも笑顏で、元気で楽しい人なら、こちらも元気をもらえます。
もう1つ条件を挙げるなら、「思い込みや常識に縛られず、自分の頭で考えられる人」です。ライフネット生命は、生まれて間もないベンチャー企業。人もお金も足りません。同じ保険業界には歴史ある大企業がいくつもあり、新興企業がそれと同じことをやっていては、絶対に勝てません。生き残っていくためには「いかに人と違うことを考えるか」がすべてです。
思い込みや常識を排し、数字、ファクト、ロジックによって、目標達成に必要な道筋を考え、仕事を組み立てていく。それが当社が必要としている人材であり、私にとって共に仕事がやりやすい相手でもあります。年齢や世代は関係ありません。様々な世界で経験を積み、常識に囚われず自らの頭で考えられることこそが、これからのあらゆる仕事に必要とされるパーソナリティです。
1948年、三重県生まれ。72年京都大学法学部卒業、日本生命入社。2006年生命保険準備会社ネットライフ企画設立、社長就任。08年生命保険業免許を取得、ライフネット生命保険社長。13年6月より現職。