男性のマネジメント層は人への敬意が足りない

【LGBT施策のメリット5】Opportunity

5つ目は「機会創出」。企業が大切にしている顧客のなかにLGBTが含まれるとしたら、彼らが抱える課題を解決し、ニーズに応えていくことは、将来的にはビジネスチャンスにもつながる可能性もあります。自社で働く当事者に自分らしく働きやすい環境を提供するだけでなく、彼らが積極的にその課題やニーズの抽出、ビジネス開発に関われる機会をつくりだすことは、モチベーションアップにも影響があるかもしれません。

Gapでは、昨年に引き続き「東京レインボープライド」というLGBTの祭典やパレードに協賛をするとともに、代々木公園にブースを設けLGBT当事者やアライを問わず、100名以上の従業員がボランティア参加して、Tシャツカスタマイズワークショップや人事による採用イベントを実施。またカミングアウト・フォトプロジェクト「OUT IN JAPAN」(主催:グッド・エイジング・エールズ)でも創設スポンサーとなり、原宿店にて写真展を開催しました。Alfa Romeoやソフトバンクに続き、「Gapらしい」アプローチにてLGBTとの関係作りの形を確立しつつあります。

【LGBT施策のメリット6】Inclusion

6つ目は「相互敬意」。僕自身は、この最後のポイントが、企業がLGBTに関する社内教育に取り組む一番のメリットだと考えています。実は自分のすぐ隣に存在するかもしれない「目に見えない」マイノリティ、LGBTが抱える悩みや苦しみ、課題などに目を向けることは、社員誰もが何かしら持っているかもしれないが、いまは「見えていない」マイノリティ性に対しても意識を働かせ、配慮していくきっかけにもなります。

社員全員誰もが想像力をもって、お互いにリスペクトし合い、それぞれの特性を活かしあえる職場づくり。多様な社員が存在する状態「ダイバーシティ」の一歩先である「インクルージョン」の、ひとつの旗印になるのではないかと思っています。

▼男性管理職層は想像力が足りない

女性問題に取り組む人事担当者の方からは、そんな想像力を働かすことに慣れておらず意識改革推進の壁となっているのが、男性マネジメント層であることが多いとよく聞きます。

筆者の著書『LGBT初級講座 まずは、ゲイの友だちをつくりなさい』(講談社+α新書)

生まれながらに「男性中心社会」のなかに無意識的に組み込まれてしまっている彼らに、あまり気負いせず、気軽にLGBTに対して興味をもち知ってもらうきっかけが提供できないか。その思いで書いたのが、先日発売した拙著『LGBT初級講座 まずは、ゲイの友だちをつくりなさい』(講談社+α新書)です。

本のベースは、セクシュアリティはひとりひとり違うという、多様性についての解説。そのうえで戸籍上は彼らと同じ男性として生まれながら、ゲイとして悩み、迷い、躓き、乗り越え、いまは楽しく前向きに人生を送っているひとりのサラリーマンである、僕自身のライフヒストリーを重ねて綴りました。

もし、いま自分の周りにLGBTがいないと思っている方は、本当は隣にいる当事者があなたのことを「カミングアウトして相談したい人」として、まだ信頼に足りていないということかもしれませんよ。LGBTの話は、自分の周りにひとり当事者がいるだけで、一気に自分にとって身近な話に変わります。ちょっと新しい友だちをつくる感覚で、ぜひお手に取ってみて下さい。

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