原則3. 完璧主義をやめる。最善主義で考える
最後の原則は、完璧主義ではなく、最善主義で考えることです。
完璧主義の人は仕事を過剰品質で行ったり、相手が求めていないことに時間を使ったりしています。また、人に任せられない、自分でやらないと失敗するのではないかと不安が大きい結果、仕事を手放すことができません。
完璧主義の人の仕事は往々にして自分の理想の追求になりがちで、相手からすればそのレベルまで準備する必要なかった、ということが少なくないのです。
会議の資料の体裁に時間をかけたり、メール返信1つ1つに時間がかかったり、電話で済ませれば5分で終わるところを報告書に纏めて30分かけたりするのは、過剰品質の仕事になります。
この完璧主義の対極にあるのが最善主義です。
私は、最善主義とは、「限られた時間で可能な限り最善の結果を出す思考」と定義しています。この最善主義の思考がなければ、帰る時間に制限を設けても改善に限界がやってきます。完璧は幻想であり、力の入れどころと抜きどころを明確にできる人が仕事で高い成果を出す人です。
最善主義を行なうためには、投入時間、納期、品質を考えて、限られた時間で何をどのような優先順位でどれだけの時間をかけてやっていくのかを考え続ける必要があります。そのためには、目的と相手の満足ラインをしっかり掴む力をつけていかなければなりません。そこがズレてしまうと仕事の成果として認めてもらえないからです。
この最善主義思考を駆使するためには、普通にそのタスクをこなしていけば時間が足りなくなるという状況に自分を追い込むことです。つまり、原則1とセットで考えなければなりません。
そうなれば、どこに力を入れるべきか、妥協して切り捨てるべきか人に任せるべきか、というところが見えてきます。
最善主義の詳しい方法は、拙著「力の抜きどころ」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に譲りたいと思います。では、次回は高密度仕事術の土台となる習慣をご紹介します。