仕事を依頼するたびに、「なぜ私なのですか?」といちいち牽制してくる“面倒な部下”にどう対処するか――。習慣化コンサルタントの古川武士さんは、「『とにかくやってくれ!』では今の部下は動かない。部下の性格タイプ別の任せ方が必要だ」と説く。学びのサイト「プレジデントオンラインアカデミー」の好評連載より、第1話をお届けします――。

※本稿は、プレジデントオンラインアカデミーの連載『自分も、部下も上司も「関わり方」で有能社員になる 性格4タイプ別1on1マネジメント習慣術』の第1話を再編集したものです。

部下からの報告を受ける上司
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

「1on1マネジメント」で、チームのパフォーマンスを劇的に変える

習慣化コンサルタントの古川武士と申します。本稿では、主任や課長、部長、プロジェクトリーダーなど、会社組織の中で部下をマネジメントする立場にある人に向けた「1on1マネジメント」の手法についてお伝えします。

部下との信頼関係を築き、それぞれの部下のパフォーマンスを高める具体的なアプローチを一緒に考え、“部下に求められるリーダー”を目指しませんか?

さて、みなさんは、いま自分のチームについてどんな悩みを持っていますか?

「指示をすると、いちいち反論されて面倒だ」
「新人は少し叱ると落ち込む。やりづらい」
「アドバイスをしても、全然響かない……」

もし、このような「つまづき」を感じているのなら、それは一人ひとりの部下に対する特性の理解をしていくと解決の糸口がつかめます。

例えば、「急なんだけど、この仕事もお願いしていいかな?」と頼んだとき、「いいですよ!」とすぐ快諾する部下と、まず「なぜわたしなのですか?」と牽制をしてくる部下。その違いは、あなたとの信頼関係によるものだけではありません。

シンプルに、「楽観的でノリで仕事を請け負う性格」と「慎重に計画をし、リスクを想定して請け負う性格」という、タイプの違いによる場合だってあります。そうであるなら、前者は「本当に頼んで大丈夫か」を確認する必要がありますし、後者にはもっと明確に説明をする必要があります。

ひとむかし前なら、「とにかくやってくれ!」とポジションパワーを発揮すれば済みましたが、現代ではそうはいきません。残業防止の観点から、仕事をしすぎる部下は仕事量を調整すべきですし、人材不足のいま、「反抗的だ」とか「能力不足」という理由で干していると仕事は進みません。

いま、リーダーに求められるのは、一人ひとり性格も能力も異なる部下に対し、個別に最適なアプローチでパフォーマンスを発揮させる「1on1マネジメント」です。チーム全員のパフォーマンスを漏れなく高め、すべての部下が腐ることなく自己効用感(わたしはできる! という自信)と成長実感を得られる、そんなリーダーを目指していきませんか?

「ボス型マネジメント」では、部下はついてこない

「1on1マネジメント」を説明する前に、みなさんに大前提をお伝えします。それは、「1対多数」で管理しようとする「ボス型マネジメント」では、もう「誰も言うことを聞かない」ということです。

部下の心を捉えられず、マネジメントで失敗している原因の多くが、この「ボス型マネジメント」にあります。