「童話マトリックス」で人それぞれのタイプを知ろう
では、「1on1マネジメント」をはじめるために、まず何をするべきか? それは、一人ひとりの部下のことを「よく知ること」です。一人ひとりと対話の機会を設け、あらためて考えていること、性格、価値観や仕事観を知れば、みんなまったく違う人間であることがわかるでしょう。自分の常識や価値観だけで物事を伝えても、響くわけがないことがわかると思います。
「1on1マネジメント」は、個々の部下の「違い」を知ることからはじまります。そこでわたしは、部下の性格や特性の違いをわかりやすく把握できるよう、「童話マトリックス」(簡易診断はこちらをクリック)という以下のタイプ別の分類を使っています(図表1)。
「童話マトリックス」は、わたしがコンサルタントとして携わった約5万人のビジネスパーソンの育成と、1万人以上の個人コンサルティングの経験をもとに分類した、いわば性格診断のようなものです。
社員のパーソナリティ診断には「SPI」や「ストレングス・ファインダー」などが有名ですが、そこまで精密なデータがあっても、正直、細かすぎて日常のマネジメントで活用するのは困難に感じていたのです。
あなたが人事や人材戦略の担当者であれば、そうした精密なデータを使いこなし、時間をかけて人材の特性を分析できるかもしれません。ですが、事業部門のリーダーにそんな余裕はないと思うのです。
もっとシンプルに、大まかに4タイプで性格を分類し、業務への向き合い方やモチベーションの所在を考えられたら使いやすい。そう思ってまとめたのが、この「童話マトリックス」です。実は、この分類のヒントになったのは「子どもの頃の、夏休みの宿題への取り組み方」です(図表2)。
みなさんは、どのタイプの子どもでしたか? およそ10年前に着想を得てから、実際に1200人をサンプルに検証してみましたが、この4タイプの違いは、大人になっても仕事に対する取り組み方として影響を与えているのです。
ただし、理性と経験で弱点を補い、長所を伸ばすことで人は成長します。「1on1マネジメント」で目指すのも、そこなのです。リーダーのマネジメントによって、それぞれ異なる弱点をフォローし、課題を克服し、長所を伸ばしていくことでパフォーマンスを高め、成長させることにあるのです。