すると、やはり顔のよさと寿命との間に相関が表れた。もちろん顔がいいと長生き。長寿は、日常的な健康の積み重ねともいえ、当然かも。
では問題の、美人は性格が悪いのかどうかという件だが、残念ながらほとんど研究がない。研究自体が難しいか、タブーのような内容だからなのだろうか。そこで私自身の経験を言わせてもらうと、美人でものすごく性格がいい、美人だが性格は最悪、のどちらのケースも存在する。しかし美人で性格もいいというほうが圧倒的に多いような気がするのだ。
何てことだ! 美人は健康で長生きなうえに性格もいいなんて!
でも、冷静に考えてみよう。なぜ美人は性格がよく、不美人は性格が悪い「必要がある」のか。
この件について京都大学、日高敏隆研究室で私の後輩だった、蔵琢也君はこんなふうに説明している。
美人が誰かに親切にするなど、よい行いをすると、相手はその行いを印象深く受け取り、お返しをする。つまり、よい行いが報われる。しかし不美人がよい行いをしたとしても、往々にして印象深く受け取られず、よい行いは報われずじまいである。
ならば、いっそのことよい行いなどせず、美人の足を引っ張るなどの嫌がらせなどをしたほうが、行いとして効果があるのではないだろうか。
またしても、何てことだ!
1979年、京都大学理学部卒。同大学大学院博士課程にて動物行動学を専攻。91年『そんなバカな! ─遺伝子と神について─』で第8回講談社出版文化賞「科学出版賞」受賞。『男と女の進化論 すべては勘違いから始まった』『遺伝子が解く! 女の唇のひみつ』など著書多数。