(a)チヤホヤされて素直な性格になる (b)嫉妬にさらされ性格が曲がる
美人は長生きである
美人は性格が悪い? 本当にそうなのかどうかはさておき、この問いはまず圧倒的多数派である、美人ではない女たちの願望、または男たちに向けたプロパガンダではなかろうか。外見が美しいのなら、内面はよくないはずだ。そして外見に恵まれない我々は内面はよいのだ、と。
人を外見で判断してはいけない。中身こそが重要なのだ、というよく聞く意見と似た論理である。
しかし動物行動学、進化生物学の世界で、外見とは何かといえば、それは中身の反映である。しかも、中身とは主に免疫力、つまり病原体などと戦う力のことだ。
外見(顔)がよい人は免疫力が高く、健康で、長生きというわけである。
顔と健康については、アメリカ、フロリダ・アトランティック大学のT・K・シャクルフォードらが研究している。学生を対象に4週間にわたり健康チェックをしてもらう。全部で7項目、つまり頭痛、鼻水・鼻づまり、吐き気や胃の異常、筋肉痛や痙攣、喉の痛みや咳、腰痛、不安感について。
これらは日常的な健康の度合いについてだが、加えて心臓の働きについても調べる。自転車こぎを1分間行うか、踏み台(60cmの高さ)昇降をやはり1分間行って心拍数を高め、それがいかに早く元に戻るかを調べるのだ。
すると、男では顔のよさと相関があるのは、鼻水・鼻づまり、喉の痛み・咳、心臓の働き。女の場合には頭痛と相関があった。顔がいいと、それらの症状が出にくく、男の場合には心臓の働きもよいということだ。
顔のよさと長寿との関係については、カナダ、ウオータールー大学のJ・ヘンダーソンらが行っている。
ヘンダーソンらは、1920年代にオンタリオ州のあるハイスクールに在籍していた生徒の顔写真と、オンタリオ州の墓地についてのデータベースを利用した。研究が発表されたのが2003年なので、もはやほとんどの生徒が亡くなっているし、戦争などによって亡くなった例は除いている。