小宮一慶氏が分析・解説
関心事に対する経営者の探求心の強さを痛感させられたのがゴーン氏だ。10年前(2011年現在)、ホンダカーズ中央神奈川会長の相澤賢二氏から「この前、ゴーンさんが来ました」という話を聞き驚いた。すごく売れているディーラーがいるというので、その秘密を探ろうと自らアポを取って視察に来たのだ。
「こうしたら売れる」といった自分なりの仮説を持っている経営者ほど、それを実際の現場で仮説検証したがるもの。ライバル会社であっても成功している会社なら、そのやり方を自分の目で確かめたくなるのだ。
ゴーン氏というと、アグレッシブな言動から独裁的なトップというイメージも強い。しかし、実は情報のインプットを大切にしている。ということは、独断をせず、まずは衆知を集めているのだ。だから、リスク回避ができているのだろう。
1957年、大阪府生まれ。京都大学卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現職。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』など著書多数。