(1)古き良き日本を演出し、日本食を提供する「サクラフードコート」。(2)茶室のように落ちついた喫煙ルーム。(3)子ども連れが多いので、ベビーカーが大活躍。(4)ゴミを分別するのもベトナムでは新鮮だ。

店内には、随所に桜の花、竹や格子をあしらったオブジェやデザインなど、日本のイメージが全面的に展開されている。日本は豊かさの象徴でもあり、美しい自然と高度な技術を併せ持つ、平和で自由な国として好感度が高い。そこは強くアピールしたいと西峠は考えている。

近年、ベトナムでは農産物の生産量が増加する半面、農薬などの安全性の低さが問題になることもある。そこで、生産管理を徹底し、安全な環境で生産したという適合マークを付けた野菜や、日本から生産者を技術指導に招いて生産した、おいしくて安全で品質のよいレタスを販売しているのもベトナムイオンの特徴だ。日本=高品質&安心というイメージは強い。

ベビーカーの貸し出し、分別式のゴミ箱、タッチパネル式のフロアガイド、子供用のトイレ、茶室のようにデザインされた喫煙ルーム。日本では当たり前のサービスも、ベトナム人の心をとらえた。

ちなみに喫煙率の高いベトナム。分煙マナーはまだ浸透していない。食事の最中でも吸う人も多く、フードコート内で吸えないのかという苦情も出たが、分煙が世界標準となりつつあることが理解されたのだろう。トラブルもなく受け入れられている。イオンは文化の発信基地でもあるのだ。

円安にもかかわらず、輸出は伸び悩んでいるが、日本のサービスは確実に高い評価を受け、売り物になっている。これはイオンのアセアンシフトへの大きな自信になるに違いない。

(文中敬称略)

(岩田亘平=写真)
関連記事
初日の来客数15万人! ベトナム初の郊外型ショッピングセンター「イオン」大繁盛の裏側【1】
「日本のおもてなし」は海外事業に活かせるか
ジョブズを凌ぐ日本流「いのべーしょん」
「顧客との倦怠期」を乗り切る刺激的方法論
「新興・途上国」争奪戦で日本企業が勝つには