イオンの本格的なアセアンシフトの出足は大成功で始まった。わくわくする新しいライフスタイルの発信基地のキーワードは食とアミューズメントの滞在型ショッピングセンターだ。
生活インフラとして地域に貢献する
出店した2店舗の出だしは順調だが、油断はできない。というのも年間を通じて気温が30度を超えるホーチミンは四季の変化に乏しい。国民的な行事も少ないので1年にメリハリがなく、いつでも同じ商品を売ることになりがちだ。これではすぐに飽きられてしまう。そこで西峠はベトナムにはまだ馴染みがない母の日、ハロウィーン、クリスマス、バレンタインデーといった提案を次々に仕掛けている。
「このビンズオンという町は工業団地の誘致で成功した町です。財政も潤い町も発展しました。次のステージは生活インフラのきっちりした整備。ショッピングセンターとしてだけでなく、レジャー施設的な役割も果たしながら、雇用も生みだす(一つの店舗で約2000人規模の雇用が生まれる)。街づくりに積極的に参加することで、お客様のライフスタイルが変わり、生活水準が上がるというか、新しい価値観が生まれるというのが私の願い。そんな貢献もできればと思っています」(イオンベトナム社長 西峠泰男氏)
イオンが提案した日本型サービスの評判のよさは大きく分けて2つ。まずは明るく清潔で衛生的な近代的施設。
「こちらでは、公共の場をきれいに使うという感覚が薄く、そこらへんに平気でゴミを捨ててしまうのです。職場を掃除する習慣も一般的ではないようでしたが、今では積極的に作業場の清掃に取り組んでくれています。また、ベトナムでは衛生の知識・経験がない人が多く、調理場での帽子とマスクの着用を徹底させるのには苦労しました」(青野恵三店長)