もちろん新卒の採用プロセスも同じだ。サラ・ロブ氏は「高いスキルが求められる職責については経験者を優先するが、経験があまりない人にやってもらいたい仕事もたくさんあり、その仕事にふさわしい新卒の採用も積極的に行っている」と語る。
グーグルのリクルーターは多くの大学とコネクションを持っており、それを利用して学生と接触し、採用につなげる。採用ルートは大学だけではない。同社の社員自ら人材の獲得に動き、採用に結びついた場合は報償金が出る仕組みもある。
「社員が優秀な人材を獲得した場合、ボーナスが出る制度があります。金額はマーケットによって違うと思いますが、一般の社員自らリクルーティングを行っています」(徳生氏)
あらゆるツールを使い報償金まで出すというのは、それだけ優秀な人材を獲得したいという思いが強いからだ。
また、日本の新卒は大卒、大学院卒と学歴で一律の初任給であるが、グーグルは経験も加味して給与を決めている。サラ・ロブ氏は「大学卒や修士号など学位によっても給与は違うし、大学院に通いながら実務上の経験を積んでいる人もいる。学位と経験のレベルを考慮しながら決めている」と指摘する。
一律の給与ではなく、個人の能力に応じて支払う給与を決めるということは、優秀な人材を獲得する王道である。しかし、優秀であるからこそ、キャリアアップを目指して転職する人が多いのも事実だ。とくにIT業界の離職率は高く、日本では10%程度と言われる。だが、サラ・ロブ氏は「離職率は極めて低い。数字は言えないが、10%よりかなり低い」と胸を張る。