リクルーター制度は合理的なシステム
「学歴を強く感じたのは、リクルーターをしていたときですね」
金融コンサルタントの戸田博之氏は(57)は、40歳まで住友銀行(現 三井住友銀行)の行員だった。語学力を買われ、海外勤務の経験は豊富だった。英語3冠王といわれる、英検1級、通訳ガイド、通訳検定2級の保持者であり、TOEICではほぼ満点の980を獲得している。
1980年、入行1年目のとき、人事部の指示でリクルーターとして大学生の採用に関わった。母校である東北大学の学生と頻繁に接触をした。
「勤務していた都内から、大学がある仙台市までよく往復をしました。そのとき、大学ごとに採用予定人数が決められていることを知ったのです。東大を始め、京都大、大阪大、神戸大など旧帝大の人数が他の大学よりも多かったのが、印象に残っています」
その頃から、リクルーター制度を合理的なシステムととらえるようになったという。
「大学受験を突破したことで、一定水準以上の学力を身に付けていることがわかります。しかも、リクルーターは、住友銀行とかねてから関係の深いゼミなどに籍を置く学生と接触し、セレクトをします。人的なつながりを生かし、大学の深いところにたどり着き、ふさわしい学生を獲得することができます」
元銀行員らしく、このようにも分析する。
「エージェントに依頼すると、学生1人につき、少なくとも数百万円は支払わざるを得ないでしょう。その意味でも、リクルーター制度は優れたシステムです。面接や筆記試験だけで、会社と学生をマッチングさせることは難しいし、リスクも大きいのではないでしょうか」