筆記試験は東大生の点数が高い

「同期で入った学生は数十人いましたが、早稲田大学を卒業した者が多かったように思います。それらの中には、辞めていった者も多いです。金融機関に移った人もいれば、独立をして自営業をしている人も……。もともと、この業界は独立志向の強い人が多いのです」

高橋繁典・日本アジア投資執行役員。1992年、早稲田大学政治経済学卒。

大手のベンチャーキャピタル・日本アジア投資の高橋繁典氏(46歳)が、1992年に同期入社した社員のその後について語る。高橋氏は、早稲田大学政治経済学部(経済学科)を同年に卒業し、入社した。

ベンチャーキャピタルは高い成長が見込まれる企業に投資し、IPO (株式公開)や途中売却による利益を主な収益源とする。日本アジア投資は、国内を始め、中国や東南アジアなどの企業への投資にも豊富な実績がある。

高橋氏は札幌支社や大阪支社で12年ほど、キャリアを積んだ。その後は、本社(東京・千代田区)で人事のマネージャー(部長)、企画グループシニア・ディレクターを経て、現在は執行役員を務める。

人事のマネージャーをしていたときのことを尋ねると、こう答えた。

「セミナーなどの後、筆記試験を行っていました。試験の内容は、国語、数学、英語。東大の学生は全般的に、点数が高い。早稲田や慶応などの学生もエントリーしていたが、差があったような印象がありました。高い人もいれば、そうではない人もいました。試験の中身が、大学受験の延長線上のようなものだったから、このような結果になったのかもしれません」

筆者が、早稲田の学生は、政治経済学部、法学部、文学部、商学部、教育学部と、偏差値ランキング通りの結果になっていたのかと聞いた。高橋氏は、少し笑いながら「それはない」と答える。

「政治経済学部には、私がいた頃は1学年が約1000人。全体で4000~5000人もいたから、勉強熱心な学生もいたし、そうではないようにみえる学生もいました。そのあたりが、東大などと違うところなのかもしれませんね」

面接では、一度の試験につき、少なくとも数百人の学生と接した。東大の学生は、物事を深く考えているようにみえたという。早稲田の学生は、ここでも偏差値ランキング通りにはなっていなかったようだ。

「顕著な傾向と感じたのは、入学難易度の高い大学にいる学生は、親の収入が比較的、高いこと。一方、学生全体で見ると、かつてに比べて、学生はアルバイトをする時間が長いこと。奨学金をもらい、生活をしている学生も少なくないです。親の世代の収入がなかなか増えていませんからね……」