トップエリートのための「出世コース」とは

戸田氏は、これらよりもはるかに上に行く、トップエリートのためのコースもあったと明かす。

「支店などにあまり勤務することなく、本店の人事部や総務部、調査部、審査部などに長く在籍し、その道のスペシャリストになっていきます。この中から、役員の側近になり、英才教育を受けることがあります」

このようなセレクトも、学歴を基準に進められているとは感じなかったという。戸田氏が取材中、数回繰り返した言葉が、「会社は人をみていますよ」だった。

「私が組織人に向いていない一面があることや、仕事をやり遂げる突破力が強いことも見抜いていた気がします。執行役員や役員になった人は、『銀行は自分を育成するために、よく見ていた。それぞれの時期にふさわしいポジションなどを用意してくれていたのだな』と振り返ることがあります」

戸田氏は1996年、ニューヨークにいるとき、退職し、現地でコンサルティング会社を設立した。人事、総務関連コンサルティングを始め、アメリカに進出する日系企業のサポート業務に携わった。

その後は、アメリカの大手運用会社に入り、2005年まで投資信託の窓口販売業務に関わる。05年からは、三井住友海上シティ生命保険株式会社(現 三井住友海上プライマリー生命保険株式会社)に金融関連トレーニングの専門家として活躍した。

2011年に退職し、「office AH(オフィス エイ・エイチ)」を設立し、英語力を生かした、金融コンサルタントとして全国を飛び回る。社会人や大学生などに英語を教える一方、保険や金融商品などに関する書籍などを書き著し、講演も行う。

「新卒のときはともかく、いったん社会人になると、学歴は人をみるうえで第一基準にはなりえないでしょう。会社は、あくまで合目的で動く組織ですから。会社は、人をみていますよ」

利潤を獲得し、それを最大化することが会社の目的であるならば、たしかに高学歴というだけの人材は不要なのかもしれない。

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