低侵襲の手術は技術も成績も向上

私の胃がんは1A期と診断されました。大きさは推定4ミリメートル、粘膜にとどまって転移もない、最も進行度の低いがんと診断されました。治療後に切除した組織を調べて確定診断を下すのですが、胃がんは治療前の検査で、がんの状態が9割方つかめます(私のケースでも、最終的に確定診断で変更はありませんでした)。

そして、私はそのままNTT東日本関東病院に入院し、内視鏡手術を受けることにしました。内視鏡手術は、胃カメラと小さな電気メスを口から胃の中へ挿入し、胃カメラを見ながら、がんとそのまわりの組織だけを切り取る治療法です。開腹手術と違って腹部に傷はつかず、後遺症もほとんどありません。胃を残せるので消化機能も保たれます。また入院期間が短く、治療費も安いといった利点もあります。なによりNTT東日本関東病院は胃がんの治療実績が豊富で、胃がんの手術を年間約500例行っていました。その約7割が内視鏡手術で、残りの3割のうち約7割は腹腔鏡手術でした。

胃がんは早期発見が増えており、いまや約7割の人が治ります。早期がんは開腹手術で大きく切らなくても、ここ10年ほどで技術も治療成績も向上し、急速に普及している内視鏡手術や腹腔鏡手術といった、体にやさしい低侵襲の手術で治ることが、これまでのデータからわかっています。私自身、外科医として胃がんの開腹手術でメスを振るってきたのですが、「自分の胃がんなら、内視鏡手術が最適」と考える時代へと進歩しています。

実は、内視鏡手術を行うのは主に内科医なのです。私の手術を担当したのも、医師になって5年目の内科の研修医でした。内視鏡部長が太鼓判を押すので、安心して任せました。それだけ内視鏡手術の技術は高まっているのです。そして1月19日に入院し、20日に手術をしました。手術時間は約40分で、麻酔で眠っているうちに終わりました。手術の3日後には流動食を摂れるようになり、予定どおり1週間で退院できました。