胃カメラ検査で早期発見が重要に

表を拡大
意外と知らない胃がんの治療費

しかし、1A期の早期がんのすべてが、内視鏡手術の対象になるわけではありません。大きさが2センチメートル以下で粘膜下層に達していない、がん細胞が分化型(おとなしいタイプ)、といった条件があります。それ以外は原則、外科手術を行います。

難しいのはがんの大きさがちょうど2センチメートルといったギリギリのケース。内視鏡手術か、あるいは手術か五分五分の場合、私は外科医として手術をお勧めし、自分が患者だったら手術を選びます。内視鏡手術後の確定診断で予想以上にがんが進んでいた場合、再手術することになるのですが、その確率が高いからです。再手術になると体の負担が重くなり、治療費もかさみます。

ただし、そうしたケースでも実際にほとんどの患者さんは「再手術になってもいいから」と、内視鏡手術にかけたがります。術後の療養や生活のことを考えると、手術はできるだけ避けたい。治療効果を第一に考えたいところですが、QOL(生活の質)も重要であるからです。私自身、内視鏡手術で治ったわけで、いまでは患者さんの要望を尊重して、内視鏡手術に同意するようになりました。

がんは難しい病気ですし、治療法が複数ある場合もあります。じっくり考えたほうがいいでしょう。迷ったときは、「先生やご家族が私の立場だったら、どうしますか」と医師に質問してみましょう。セカンドオピニオンもお勧めします。いくつかの選択肢の中から決めたことなら、結果はどうあれ納得がいく。がんの治療で肝心なのは、患者さん自身が納得できるかどうかです。

私は胃がんの専門医で、がん検診の効果をわかっていました。胃がんの場合、レントゲン検査では早期がんを見つけにくく、数ミリメートルのがんでも見つけられる胃カメラ検査を受けていました。しかし、がん検診の受診率は3割程度です。私は胃がんの3年後に前立腺がんになりましたが、検診のおかげで早期のうちに切除できました。私は自分のがん体験を通じて、がん検診の重要性をもっと多くの人に知らせていきたいと考えています。

東京医療保健大学 副学長 小西敏郎
1947年生まれ。72年、東京大学医学部卒業。今春までNTT東日本関東病院副院長・外科部長を務め、累計症例数は執刀約2500例にのぼる。現在、東京医療保健大学副学長のほか、キャンサーネットジャパン理事・代表を務め、患者を支えるサポート体制づくりに取り組んでいる。