中小の4割はボーナス支給「ゼロ円」

大手企業の海外移転や原材料の高騰で苦しんでいるのは中小企業も同じである。

中小企業の冬のボーナスが決まるのはこれからであるが、労働組合の国民春闘共闘委員会集計の夏のボーナスの従業員100人未満の支給額は約61~62万円。大手企業に比べると10万円近い差はあるものの、それほど低くはない。だが、中小企業でボーナスを支給していないところも多いのだ。

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賞与・一時金の増額をした中小企業の割合

大阪シティ信用金庫が大阪府内の1108社を対象に実施した夏のボーナスの支給状況調査によると、支給すると答えた企業は59.4%、支給しない企業(小額手当含む)は40.6%に上っている。従業員規模別にみると、50人以上の企業で支給するのは86.2%、20~49人で77.3%、20人未満で53.6%。規模が小さい企業ほど支給しない企業が多い。また、支給する企業でも平均額は約26万円とそれほど多いとはいえない。前年比も0.8%増と大手企業の約6%に比べても低率だ。

ボーナスを出してやりたくても出せない、上げられない企業が多い実態は、今冬も同じと見られる。

経済産業省の中小企業1万0380社の調査では、2014年度のボーナスを増額すると答えた企業はわずかに31.0%。69%の企業が増額しないと答えているのだ。

その背景にある経営的理由としては「業績の低迷」「原油・原材料価格の高騰」「消費税率引き上げ」といったものが多い。中小企業にボーナスを出す体力が徐々になくなっていることを示すものだ。

大手と中小の年収格差も拡大の一途をたどっている。連合の調査によると、1000人以上規模の企業と10~99人規模の企業の年間賃金の格差は1995年に14ポイントであったが、しだいに拡大し、2013年の格差は産業計で19.2ポイント、製造業が23.5ポイントにまで拡大している。

大手企業といえども、ボーナスの先行きの見通しが暗い中で、同時に中小企業との格差が開いていく。サラリーマンの所得水準がいびつな形で縮んでいく方向にある。

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